「投資を始めるためには何から始めればいいの?」ってな感じの質問を多く受けるようになってきたので、初心者さんが投資をイチからスタートしていくための準備、証券口座の開設、投資商品決定までを順番に紹介していきます!
まずはマイナカードを準備しましょう。2024年12月からマイナ保険証としての仕様が正式にスタートするため、既に持っている人が大多数だと思います。ネット証券、ネット銀行、クレカ発行などなど、最近ではスマホとマイナカードがあれば速攻で申請することができるようになっています。投資を始めてマネリテを高めていくためには、IT化やデジタル化、キャッシュレス化の波に乗り遅れるわけにはいきません。個人情報やセキュリティの心配をするよりも、貴重な時間や手間を省くことができるメリットの方がきっと上回るはずです!
証券口座を開設する
証券口座は「SBI証券」か「楽天証券」!
ネット証券のツートップに君臨しているSBI証券と楽天証券。取扱金融商品数、ポイント運用、消費者を大事にした低コストサービスなど、オールラウンドにわたって利用者の満足度が高いです。現在の口座開設数を見ても、SBI証券か楽天証券をメイン口座として作っておけば間違いないと思います。両方作ってメイン口座とサブ口座の位置付けにするのもアリですが、とりあえずはどちらか1つでOKです。NISA口座は同時に複数の証券会社で作成する事はできませんので、最初に作成した証券口座が基本的にはメイン証券になると思います。
最初は「国内株式」の取引だけでOK
初心者は新NISAで投資信託の積立からスタートしていくのがベスト。リスクがよく理解できていないうちから信用取引、FX、CFD、商品先物等の口座まで開設してトレーディングしていく必要はありません。
「特定口座 源泉徴収あり」を選択
NISA口座は非課税なので問題ありませんが、特定口座も利用するようになると投資で稼いだ金額に対して約20.315%の税金がかかります。「源泉徴収あり」にしておくと投資利益に対する税金を証券口座内で自動計算してくれるようになり、毎年の確定申告がラクになります。「一般口座」や「特定口座源泉徴収無し」を選択してしまうと、要確定申告となります。
配当金受領は「株式数比例配分方式」
初心者のみなさんは新NISAでのインデックス投信積立からスタートしていくので、配当に関しては最初は関係ありません。今後配当を受取る事のできる個別株投資をやったり、分配金のもらえるETFや投資信託で投資していく時には、この方式がベストです。特にNISA口座で配当金や分配金を受取る時は「株式数比例配分方式」にしておかないと非課税メリットを受ける事ができません。
SBI証券の取扱書面は全て「電子交付」
SBI証券では取扱書面を「電子交付」にすることを条件に国内株式、国内ETFの取引手数料が無料になります。「郵送」を選択すると取引手数料は無料になりません。
ちなみに楽天証券では「ゼロコース」を選択するだけで、国内株取引が現物・信用ともに取引手数料が無料になります。
その他の有料情報サービス等は一切不要
ネット証券の強みはなんといってもコストが安い事です。資産は福利効果で増えていきますが、手数料等のコストも複利で増殖していって、長期的なトータルリターンを破壊する原因となります。対面販売の証券会社や銀行で取り扱っている金融商品は、人件費や建物のコスト分が各種手数料としてネット証券で取り扱っている金融商品に上乗せされている事が多いです。
たとえば人気のeMXSIS Slim シリーズ。Slimが付いているモノはネット証券のみでの取扱いです。銀行窓口などで売られているのはeMAXISシリーズで、信託報酬が比較的高く設定されています。中身が大してかわらないモノでもSlimが付いているか付いてないかで手数料が大きく異なりますので要注意です。「高いモノが良いモノの理論」はインデックス投資には通用しません。
ファンド名 | 信託報酬 |
eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー) | 0.05775% |
eMAXIS 全世界株式インデックス | 0.66% |
窓口販売員のアドバイスを聞いたり、誰かにに代行してもらったりするコストがだいたい約1%です。ちょっとパフォーマンスが悪くなってきたら、ハイパフォーマンスのアクティブファンドに変更させられます。その手数料がさらに1%です。手数料1%の差は資産100万円で1万円、資産1000万円で10万円、資産1億円で100万円にもなります。生涯に数回ファンドを入れ替えさせられるコストを加味すると、さらに余計な手数料がかかっていきます。高コストとなるアドバイザーを頼らなくても、自分で無料でネットで調べて、PCやスマホでポチっと購入できます。簡単です。無駄なコストを払うくらいなら、そのコスト分も投資に回して複利で運用していくようにしましょう!
NISA口座を開設する
「NISA口座」は非課税口座、「特定口座」は課税口座と覚えておいてください。新NISAがスタートして、年間投資上限額が大幅に引き上げられました。具体的には、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円までです。旧NISA制度とは異なり、つみたて投資枠と成長投資枠は併用可能となり、最大で年間360万円まで非課税取引が出来るようになりました。さらに非課税期間が無期限化されて、生涯非課税限度額が1,800万円(成長投資枠は1,200万円)まで拡大されました。NISA口座の金融商品を売却すると、翌年には売却金額に応じた簿価残高方式によって、年間投資上限額まで復活するようになりました。投資元本で年間1,800万円が上限になるので、複利で大きくなった分もすべて非課税となります。めずらしく国が大盤振る舞いした制度になりました!
「今の社会保険制度を維持していく事は難しいので、老後2,000万円問題はこれで解決してくださいネ」「特定口座でも貯蓄や保険から少しずつ投資に資産配分をシフトしていって、大きく増やした分からは税金として納める形にしていって下さいネ」といった国からのメッセージだと思います。積極的に使っていきましょう!
証券口座連動のネット銀行とクレカ
SBI 経済圏 | Vポイント | SBI 証券 | 三井住友 銀行 | 三井住友 カード |
楽天 経済圏 | 楽天ポイント | 楽天 証券 | 楽天 銀行 | 楽天 カード |
SBI経済圏では三井住友銀行のオリーブ口座がコスパ最強です。クレカはゴールドカード以上で指定金額以上で積立投資をする事を条件に、さらにポイント還元率が高まる仕組みになっています。クレカ積立以外の現金でのSBI証券への入出金には「住信SBIネット銀行」や「SBI新生銀行」も便利です。住信SBIネット銀行は「SBIハイブリッド預金」、SBI新生銀行は「SBI新生コネクト」で口座連携できます。
楽天経済圏では楽天銀行と楽天カードで口座連携します。SBIと同様に、クレカはゴールドカード以上で指定金額以上を積立投資をする事を条件に、さらにポイント還元率が高まる仕組みになっています。楽天証券の特徴は楽天カード積立と楽天キャッシュ積立の二種類のキャッシュレス決済方法がある事です。楽天証券の現金での入出金に関しては、楽天銀行の「マネーブリッジ」で口座連携できます。
クレカ積立は一度設定してしまえば、あとはほったらかしでもポイントが自動付与されていく便利でオトクなサービスとなっています。ポイ活ほどの難易度は無いと思うので、面倒臭くても頑張って設定して下さい!
iDeCo口座を開設する
iDeCo(確定拠出年金)とは、自分が拠出した掛金を自分で運用し資産を形成していく年金制度のことです。掛金は2024年現在では65歳まで拠出可能で、60歳以降に年金や退職金扱いとして受け取ることができます。一般的な会社員などのサラリーマン(2号被保険者で会社に企業年金が無い場合)は、月額2.3万円(年間27.6万円)が拠出限度額となります。月々5,000円から始められ、掛金額を1,000円単位で自由に設定変更することができます。
iDeCoのメリットはNISAと同様に運用益が非課税になる事です。また、掛金全額が所得控除対象(小規模企業共済掛金控除)となるので年末に確定申告することによって多く収めた分の税金が還付されます。さらに出口戦略となる受取時にも税制優遇(退職所得控除や年金控除)が受けられます。NISAは運用時の節税効果のみですが、iDeCoでは積立時や受取時にも節税効果が発揮される非常に有利な投資制度になっています。
iDeCo最大のデメリットは60歳までは資産を引き出せないことです。NISAとは異なり、年金扱いとなるため途中解約する事ができません。(実は途中で解約できないという事は、投資で資産形成していく上ではデメリットであり、メリットでもあると言う事もできます。)『投資成績の良かった人の属性で一番多いのが亡くなっている人、その次に多いのが運用していることを忘れてしまっている人』といった話を聞いたことがありますが、真偽のほどは定かではありませんが、適切なインデックスに投資して途中で辞めずに我慢強く保有し続けた人のパフォーマンスは高いようです。
毎月の投資資金を確保する
給料からの定率での天引きがベスト
まずは毎月1万円の積立投資を始めていきますので、その投資資金を確保する事からはじめていきます。『バビロン大富豪』では稼いだ手取り額の10%、本田静六の『私の財産告白』では毎月の決まった収入の25%と臨時収入の全部を貯金に回すとしています。毎月10%~25%くらいを貯金に回して資産形成に振り分けていくのがベストのようです。給料がアップしていくにつれて、天引貯金額もアップしていく事になります。残った金額でやりくりして生活していくという事が「身の丈に合った生活」だと心得るべきですネ。見栄の張り合いは百害あって一利なしです。
ポイントは収入アップと支出コントロール
金融資産 = (収入-支出) × 運用利回り
とりあえず毎月1万円を捻出する方法を考えてみましょう。つまり支出をコントロールする節約です。1万円くらいなら苦しみを感じることなく節約できるものがあるハズです。投資ブログなので節約の仕方に関しての詳細は省きますが、各種保険の見直し、格安スマホへの切り替え、コンビニや自販機の利用制限、外食や飲み会回数のコントロールなどが一般的には効果が大きいようです。
まずは毎月1万円の投信積立設定
まずはNISAとiDeCoの両輪で非課税口座を利用した投資をスタートさせます。投資スタートはiDeCo5000円、NISA5000円での積立設定を推奨します。iDeCoとNISA両方の特徴を把握するとともに、コストのかかり方、年末の確定申告のやり方、老後資産の作り方や出口戦略まで考えるようにしていくためです。
投資対象は全世界株式インデックスです。ドルコスト平均法と複利効果を体感しながら株式の価格変動に対する耐性を鍛えていきます。慣れてきてポートフォリオをカスタマイズしていく時にも全世界株式の想定リターンが基準になっていきます。
SBI証券 iDeCo | SBI全世界株式 インデックス・ファンド (愛称:雪だるま(全世界株式)) |
SBI証券 NISAつみたて投資枠 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) |
楽天証券 iDeCo | 楽天・オールカントリー株式 インデックス・ファンド |
楽天証券 NISAつみたて投資枠 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) |
次は毎月10万円の積立を目指す
次に、投資にまわせる金額を月10万円まで増額しくための戦略を練っていきます。実際には、収入をアップさせるか、天引率をアップさせるか、その両方をアップさせていくかの3択になります。収入をアップさせるためには、仕事や昇進に役立つような勉強したり、副業をしたり、自己投資したりしていく事になります。天引率をアップさせるには、苦痛を感じる事なく節約していけるような方法を継続的に模索していく事になります。
NISA積立投資枠:10万円×12ヶ月×15年=1,800万円
NISAに毎月10万円投資していくと、15年で満額の投資元本1,800万円に到達します。月10万円ペースで積立投資が出来るようになってくると、福利効果を体感しやすいフェーズに入ってくると思います。
毎月のiDeCoとNISAへの積立比率に関しては、各自のライフプランによって調整していくようにしましょう。iDeCoへの積立は60歳まで途中解約が出来ません。子供の教育資金やマイホーム資金を作っている人は、NISAへの積立を厚めにしていった方がリスクを低めに抑えることができます。
余力ができたら成長投資枠を活用
NISAの年間上限額はつみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円の合計360万円です。毎月30万円(積立投資枠10万円、成長投資枠20万円)を投資すれば、最短5年で上限の1,800万円に到達する事になります。成長投資枠の利用法としては暴落時のスポット購入がオススメです。平均購入価格を低減させていく効果が期待できます。
ばけっとのスポット買い戦略は、スポット投資用現金を5分割して最高値から10%下がるごとにスポット購入していきます。例えばスポット買い資金が100万円あったとすると、1回のスポット買いには100万円を5分割した20万円ずつの金額で買い下がっていきます。2024年9月現在のオルカンの最高値を27,300だとすると、10%下落した24,570で20万円購入、さらに10%下落して21,840で20万円購入。同様に19,110で20万円購入、16,380で20万円購入、13,650で20万円購入して打ち止めです。途中で底打ちして上昇し、最高値27,300を更新した場合はスポット買いをリセットします。余ったスポット買い資金を5分割して、再度10%下落する毎に買い下がっていく戦略で準備します。5回分のスポット買いすべてを購入した時は、最高値から50%下落している事になります。50%超の下落のような相場の時はとにかく忍耐あるのみです。
積立投資は15年以上継続する
最短5年でNISA枠を満額にすることが出来ても、15年は投資期間として継続保有したいところです。リスク (評価損益の振れ幅) は保有期間とともに軽減していく傾向にあります。過去データでは、全世界株ファンドを20年継続保有すると、評価損益がマイナス評価になってしまう事が無くなるようです。
15年間の投資期間中には評価額が一時的に-50%超になるような大暴落の瞬間を数回は経験する事になると思います。「いつ大暴落が起こるか」はわからないけれど、「数年に1回くらいの頻度で暴落が起こる」事は想定できます。暴落が起こった時にどのように対処していくのかを平時から定期的に考えて、金銭面でもメンタル面でも準備しておく事が大切です。
『暴落時も高値更新時も、落ち着いて淡々と積立投資を継続していく』『暴落時に株式を保有し続けていないと、絶好の投資タイミングを掴みそこなう事になる』といった教訓は、過去の経験に裏打ちされた正しいデータに基づいたものです。ニュースメディアに翻弄されて、アタフタと動揺して、保有している株式を狼狽売りしてしまうような事が無いように、”暴落上等”の精神でどっしりと構えていきたいですネ。
コメント