初回はインデックス=指数についての考察です。投資初心者にオススメしているオルカンは「MSCI・ACWI(エムエスシーアイ・アクウィ)」というインデックスです。投資対象となりうる全世界の大型株式を時価総額加重平均でパッケージ化したものです。インデックスには多種多様なものが揃っています。今後、投資レベルがあがっていくにつれてリスクについての理解が深まっていくと、米国株や日本株、新興国株などの比率を自分で整えていきたくなるかもしれません。そういった時に指数に関しての具体的な知識が役に立つようになると思います。
インデックス投資とは
「インデックス」とは、市場の値動きを示す指数のことを言います。つまりインデックス投資とは、それぞれの指数(インデックス)の値動きに連動をめざす投資手法のことを言います。 インデックス投資は指数全体に投資するため、その市場を構成する複数の銘柄に広範な分散投資をすることができます。
インデックス投資に関してググってみると、メリットとしては“①低コストで運用可能 ②値動きを見守りやすい ③分散投資がしやすい”、デメリットとしては“①元本割れの危険性 ②大きなリターンを期待できない ③運用に投資家の意見が反映できない”とあげられていました。
短期的なボラ(ボラティリティ)をすべて受け入れて、長期的な波に乗って平均を買っていくのがインデックス投資です。ドルコスト平均法で定額購入を続けることによって、高値更新中には少量の口数を淡々と買い続け、暴落時には大量の口数をガッツリ買い付けていく事になります。
FTSEとMSCI
FTSEは(フッツィー)と読みます。イギリスの経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)とロンドン証券取引所(LSE)が共同出資をして設立しました。多くの株価指数(インデックス指数)を開発していて、最近は特にESGスコアをレーティング付けして評価しているのが特徴のようです。
MSCIは(エム・エス・シー・アイ)とそのまま読みます。Morgan Stanley Capital International (モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社) の略称で、MSCIが算出・公表している株価指数の総称をMSCI指数と呼んでいます。
こういったFTSEやMSCIの主要指数をよく分析することが重要です。各インデックス指数を詳しく理解することによって自分が何に投資しているのかを具体的に把握し、長期右肩上がりのチャートを描くであろう指数を選んで投資していくことになります。極論をいってしまうと、15年以上寝かせた後の売却時に現在価格よりも高い価格になっていれば投資収益はプラスになります。要するに数年の下落や調整、暴落があるかもしれないケド、長期的にみれば元に戻ってさらに上昇していくであろうと思われる根拠が必要になってきます。
世界株を構成する主な指数
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス (FESE Global All Cap Index)
(SBI・全世界株式雪だるま、SBI・V・全世界株式、楽天VT など)
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスは、先進国から新興国まで全世界の株式市場の動きを表している株価指数です。大型株から小型株まで網羅していて、約9,000銘柄もの株式から構成されています。小型株を含まないMSCIの指数が約3,000銘柄であるのに対して、小型株を含むFTSEの指数は約9,000銘柄となっています。よって、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスに連動するインデックスファンドに投資したほうが、より高い分散効果を期待できます。
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス (MSCI All Country World Index)
(オルカン、野村・はじめてのNISA全世界株式、Tracers全世界株式 など)
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスは、全世界型の株価指数です。ACWIとは All Country World Indexの事で、先進国(MSCI World Index)とエマージング(EM:MSCI Emerging Markets Index)を合わせた全世界株式インデックスをあらわします。大型株と中型株で構成されていて、時価総額の上位約85%をカバーしています。フロンティア国は含まれません。フロンティア国とは新興国(エマージング・マーケット)より更に小さい市場を指し、ベトナム、ナイジェリア、バーレーン、バングラデシュ、ペルー、ルーマニア、カザフスタン、エジプト、モロッコ、フィリピン、コロンビア、ケニア、パキスタン、ヨルダンなどがこれに相当するようです。
先進国株を構成する主な指数
FTSEディベロップド・オールキャップ・インデックス (FTSE Developed All Cap Index)
(SBI・先進国株式雪だるま など)
対象国は、アメリカやヨーロッパ、日本などの先進国24カ国となっていて、世界の有名グローバル企業から中小型株まで、約5,600銘柄から構成されている時価総額加重平均型の株価指数です。FTSEは、MSCIと比べて、構成国が多く小型株も含むため、構成銘柄数が圧倒的に多くなっています。また、日本や韓国も含まれているため、MSCIワールドが比較対象になると思います。
MSCI ワールド・インデックス (MSCI World Index)
MSCIワールド指数は、日本を含む主要国の株式を対象とする指数です。先進国23カ国に上場する大・中型株を対象にしており、先進国の株式市場の動向を知るために最も利用されている株価指数の一つです。
MSCI・コクサイ・インデックス (MSCI KOKUSAI Index)
(eMAXIS Slim 先進国株式、ニッセイ外国株式 など)
MSCI ワールド・インデックスから日本を除いたものになります。「先進国株式・除く日本」などが対象になります。
アメリカの主な株価指数
ウィルシャー5000(Wilshier 5000 Total Market Index)
ニューヨーク証券取引所、アメリカン証券取引所、ナスダックで取引されているアメリカに本店を置くすべての企業が対象となっているアメリカ国内の株式市場を最も広範囲にカバーする時価総額加重平均型の株価指数です。
CRSP USトータル・マーケット・インデックス(CRSP US TOTAL・MARKET・INDEX)
(SBI・V・全米株式、楽天VTI など)
CRSPとは、Center for Research in Security Prices(シカゴ大学証券価格調査センター)の略称で、シカゴ大学ブース・ビジネス・スクールが所有する11の研究センターの一つです。このシカゴ大学証券価格調査センターで開発されたインデックスの一つが、「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」です。CRSP USトータル・マーケット・インデックスは、米国株式市場の大型株から小型株までを網羅していて、米国市場のほぼ全てとなる約4,000銘柄を時価総額加重平均した株価指数です。
ラッセル3000指数
フランク・ラッセルが算出する米国市場の時価総額加重方式の指数のことです。ラッセル指数は毎年5月28日の時価総額を基に、6月に銘柄入れ替えが行われています。ラッセル3000指数は浮動株調整後の時価総額上位3000銘柄で構成されていて、指数銘柄は米国株式市場の時価総額の98%を占めています。ラッセル3000指数の構成銘柄のうち、時価総額上位1000銘柄で構成されるラッセル1000指数と、残りの時価総額1001位~3000位の2000銘柄で構成されるラッセル2000指数があります。ラッセル1000指数は大型株、ラッセル2000指数は中小型株のベンチマークとして利用されることが多いです。
ナスダック指数(NASDAQ)
(ニッセイNASDAQ100、eMAXIS NASDAQ100、iFreeNEXT NASDAQ100、SBI・QQQ雪だるま など)
ナスダックは、全米証券業協会が運営している株式市場の名称で、米国の代表的な株式市場の一つです。National Association of Securities Dealers Automated Quotationsの頭文字をとり、NASDAQと呼ばれています。主にハイテク企業やIT関連の企業など新興企業が占める割合も多く、新興企業向け株式市場の中でも世界最大の規模を誇ります。
ナスダックに上場する企業は、約3,000銘柄あります。ナスダック市場に上場しているすべての銘柄約3,000を対象とし、時価総額加重平均で算出したものをナスダック総合指数と呼びます。また、ナスダック上場銘柄の中から時価総額上位100銘柄で構成される指数をナスダック100と呼び、ハイテク・IT関連に特化した動向を把握することができます。
SP500(Standard & Poor’s 500 Stock Index)
S&P500とは、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCが公表している株価指数です。市場規模、流動性、業種等を勘案して選ばれたニューヨーク証券取引所やナスダックに上場している約500銘柄を時価総額で加重平均して指数化したものです。アメリカの代表的な株価指数の1つで、市場時価総額の約80%を網羅して、アメリカ市場全体の動きを概ね反映しているといえます。S&P500の組入銘柄として採用されるためには「時価総額が82億ドル以上で、浮動株時価総額が41億ドル以上」など、複数の条件を満たす必要があり、かつ独自のセクターバランスも考慮されているようです。
FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス (FTSE High Dividend Yield Index)
(SBI・V・米国高配当株式 など)
代表的な投資対象はバンガード・米国高配当株式ETF(Vanguard High Dividend Yield ETF)です。FTSEハイディビデンド・イールド・インデックスは、FTSEグローバル・エクイティ・インデックス・シリーズ(GEIS)の米国コンポーネントの派生インデックスであり、高い配当利回りの銘柄で構成されています。
VYMは「高配当株式」に焦点を当てており、高い配当利回りを持つ企業株式に投資します。VYMのポートフォリオには、高い現金配当を提供する企業が含まれています。高い現金配当を提供し、安定的な収益を重視する投資家に適しています。高い配当利回りを持つ銘柄が多く、現金収益を重要視する投資家にアピールしますが、配当利回りが高いため、株価の変動に対するリスクも高くなることがあります。高配当株式を選定し、高い配当利回りを提供する企業に焦点を当てています。一般的に、テクノロジーや成長株よりも、伝統的なセクターからの銘柄が多くなります。
S&P 米国ディビデンド・グロワーズ・インデックス (S&P U.S. Dividend Growers Index USD)
(SBI・V・米国増配株式 など)
代表的な投資対象はバンガード・米国増配株式ETF(ティッカーコードVIG =Vanguard Dividend Appreciation ETF)です。米国株式市場において過去10年間継続して配当を増加してきた米国企業(配当利回り上位25%の適格企業を除く)で構成されるキャップド時価総額加重平均型の株価指数です。
VIGは「増配株式」に焦点を当てています。つまり、長期間にわたり配当を増やし続けている企業の株式に投資します。VIGのポートフォリオには、安定的な配当成長が見込まれる企業が含まれています。連続増配・配当成長に焦点を当てているため、長期的なキャピタルゲイン(株式の価格上昇)を期待する投資家に適しています。一般的に、キャピタルゲインを求めるため、連続増配が期待される企業がポートフォリオに含まれることが多いです。配当成長を基準に銘柄を選定して、さまざまなセクターからの銘柄を含むように構成されています。セクターのバランスを保ちつつ、配当成長を持つ銘柄に重点を置いています。
バンガードのETFであるVYM(Vanguard High Dividend Yield ETF)と VIG(Vanguard Dividend Appreciation ETF)は、それぞれ異なる特徴と投資アプローチを持つ高配当株式に関連したファンドです。VIGは配当成長を重視し、VYMは高い配当利回りを重視するファンドです。どちらのファンドが最適かは、個々の投資目標やリスク許容度に依存します。配当成長を追求するか、高い現金収益を追求するか、または両方を組み合わせるかを考慮して、ポートフォリオ戦略を検討することが重要です。
S&P500配当貴族指数(S&P500 Dividend Aristocrats)
(Tracers S&P500配当貴族 など)
S&P500指数の構成銘柄のうち、25年以上連続で増配している企業の株式で構成される株価指数です。 S&P500配当貴族指数の構成銘柄は、前年の配当実績をもとに、原則として毎年1月に見直しされます。
米国配当王
50年以上連続増配している米国企業の事。オイルショックやブラックマンデー、アジア通貨危機やリーマンショック等、困難な出来事があった時期の逆風にも耐えながら、半世紀に渡り毎年配当を増やし続けた「配当王」企業は2023年現在で37社のようです。
NYダウ (ダウ工業株30種平均)
NYダウとは、ダウ・ジョーンズ工業株価平均のことで、米国の株式市場の代表的な株価指数です。アメリカの各業種の代表的な30銘柄の平均株価を指数化することにより構成されています。構成銘柄はS&P ダウ・ジョーンズ・インデックス社により選出されています。対象銘柄はニューヨーク証券取引所やナスダックに上場している米国企業の普通株式など30銘柄で、時代の流れに合わせて入れ替えが行われています。その時代のアメリカをけん引する企業で構成されるようになっています。
日本の主な株価指数
日経平均
日経平均とは、日本経済新聞社が、東京証券取引所プライム市場上場銘柄から選定した225銘柄から構成される平均株価のことです。日本の株式市場の大きな動きを把握する際の代表的な指標で、投資信託や先物取引などの商品にも利用されています。日経平均株価、日経225と呼ばれる事もあります。指数対象銘柄は東京証券取引所プライム市場上場銘柄から選定した225銘柄で、組み入れ銘柄は日本経済新聞社が選定しており、東証プライム市場の代表的な銘柄を選定・指標としているため、定期的に銘柄の見直しが行われています。
TOPIX
TOPIX(東証株価指数)とはTokyo Stock Price Indexの略で、東京証券取引所に上場する銘柄を対象として算出・公表されている株価指数です。日経平均株価と並ぶ日本の代表的な株価指標で、2022年4月までは、東証1部上場の全銘柄を対象として、各銘柄の浮動株数に基づく時価総額を合計し、1968年1月4日を基準日に、当時の時価総額を100として算出してきました。
2022年4月の新市場区分施行を契機に、TOPIX自体も見直されることになり、構成銘柄については市場区分と切り離して、市場代表性や投資対象としての機能性のさらなる向上を目指していくようです。施行前の構成銘柄は選択市場にかかわらず継続採用されますが、流通株式時価総額100億円未満の銘柄については段階的にウェイトが低減される見込みです。
新興国の主な株価指数
FTSE・エマージング・インデックス
(SBI・新興国株式雪だるま など)
時価総額加重インデックスで、全世界の新興国市場の大型株・中型株のパフォーマンスを表します。
FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックス
(SBI・V・新興国株式 など)
FTSE・エマージング・インデックスに中国A株を含んだものです。上海市場に上場されている中国企業の株式のうち外貨建て(米ドル建て)で取引されているもので、以前は外国人投資家向けとして発行されていた株式を中国B株といい、2001年に中国国内の投資家にも解禁されました。 一方人民元建てで取引されているものを中国A株と呼んでいます。
MSCIエマージングマーケット・インデック (MSCI Emerging Markets Index)
(eMAXIS Slim 新興国株式 など)
新興国株式の動向を表す代表的な株価指数で、新興国の主要銘柄を対象とした時価総額加重平均型の指数です。
インドNifty 50指数
(iFreeNEXT インド株、auAM Nifty50インド株 など)
Nifty 50指数は、インドを代表する株価指数で、インド・ナショナル証券取引所に上場する銘柄のうち、時価総額、流動性、浮動株比率 等の基準を用いて選定した50銘柄の株価を時価総額比率で加重平均し指数化したもので、NSE Indices Limitedが算出しています。
インドSENSEX指数
(SBI・i・インド株式 など)
インドのムンバイにあるボンベイ証券取引所(BSE:Bombay Stock Exchange)に上場しているインドを代表する主要30銘柄で構成された時価総額加重平均の株価指数のことです。インドを代表する株価指数で、1978~79年を基準値(100)として算出されています。BSE Sensex(Bombay Stock Exchange Sensitive Index)とも呼ばれます。
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