【上級者向け】マイ・ポートフォリオの作り方

投資戦略

マイ・ポートフォリオの作り方は、投資初心者から経験者までが直面する重要なテーマとなります。マイ・ポートフォリオ作成のステップを順番に説明して、最後にいくつかのパターン別にPF作成のヒントを紹介していきます。

目的を設定する

マイホーム取得のための資金をつくる。
長生きリスクに備えるための老後資金をつくる。

ポートフォリオを作る前に、上記のような投資の目的を明確にしましょう。子供の教育資金なのか、マイホーム取得用資金なのか、老後生活の年金補填用なのか、FIREするためなのか、個別具体的に決定します。「なんとなくだけど安心できるように資産を増やしていきたい」といった場合は、とりあえず「老後資金」か「FIRE」資金に設定して下さい。

FIRE(Financial Independence, Retire Early)に関しては、経済的独立を達成し早期退職を目指すライフスタイルのムーブメントで、賛否両論ありますが様々な種類があります。ここでは詳述は省きますがLean FIRE (リーンFIRE)、Fat FIRE (ファットFIRE)、Barista FIRE (バリスタFIRE)、Coast FIRE (コーストFIRE)、Slow FIRE (スローFIRE)など、必ずしも「早期退職」を目指すものばかりではありません。自分のライフスタイル・収入・目標・リスク許容度・現在の状況などを考慮しながら、自分に最適なFIREを目的にするのも個人的にはアリだと思います。

目標を設定する

30年間5%のリターンを目指して、老後資金を作る。
25年で1億円を達成して、サイドFIREする。

目的がきまったら、それを達成するための目標を決めます。簡単に言ってしまうと「①どのような目的で、②いつまでに、③いくら貯めたいのか?」を明確にします。具体的な数値を設定します。複数の目的がある場合は。目的別に投資期間と目標額を具体的に設定していきます。

後述していきますが、投資期間によってリスクの負い方が変わってくる場合があります。特に5~15年くらいの短中期投資の場合はリスク回避の安全重視の投資、15年~30年以上の長期投資の場合はリスク選好の積極的な投資になる傾向が高いです。

リスク許容度と積立額を決定する

極論を言ってしまうと、「毎月平均いくら投資して、利回り何%を求めて運用していくか」とういことになります。【中級編】でやったようにカシオのKEISANサイトを使って、目標期間までに目標金額を得るための毎月の投資額と目標利回りをシミュレーションしてみてください。

カシオKEISANサイト→https://keisan.casio.jp/

・生活の計算→お金の計算→利息計算→複利計算(元利合計)

・生活の計算→お金の計算→積立計算→年金終価係数

後述していきますが、無理な目標利回りを設定しない事が大切です。「いつまで」が決まっている場合は、毎月の積立額を変更するか、リスク許容度を上げるしか、目標額を達成する方法はありません。ばけっと推奨のオルカンで想定利回り5%に設定しています。全世界株100%のPFでリーマンショック級の暴落が来たら、評価額が一時的に-50%になる事も考えられます。長期的には右肩上がりでも、短期間でも現在価格まで戻るのに数年~10年くらいかかる場合も想定されます。運悪く出口時期が暴落や調整局面だった場合、どのように対処するかも考えておくことが重要です。

投資金融商品を選択する

目標利回りが決まったら、今度はどの金融商品に投資していくのかを決定します。基本的に高リターンのものほどハイリスクでボラ(価格の変動幅)が大きくなり、低リターンのものほどローリターンでボラが小さくなります。同じリターンを得るにしても複数の投資先に分散して、リスクの軽減をはかっていく事が重要です。

①投資金融商品による分散

ビットコイン>株式>ゴールド>リート>債券>現金

投資金融商品による分散は主に価格変動リスク対策です。基本的に株式は高リスク・高リターンです。想定利回りはオルカンなどの全世界株式で想定利回り5%、米国株で6%、ナスダック指数で7%くらいでしょうか。外国債券は比較的低リスク・低リターンです。想定利回りは米国債券で2%前後です。超長期では株式のリターンが圧倒的で、債券は為替リスクをヘッジした場合に株式の逆相関となります。ビットコインは投機的、ゴールドとリートは株式と異なった値動きをする資産候補といった位置付けです。

②投資地域による分散

新興国>欧州>米国>日本

地域分散は主にカントリーリスク(地政学リスク)対策です。2024年11月現在でもウクライナvsロシア、イスラエルvsヒズボラ・レバノン・シリア、米中対立など、世界中で紛争が絶えませんが、投資対象地域を分散すればある程度のリスクは軽減できます。オルカン(e MAXIS Slim 全世界株式・オールカントリー)などの全世界株式は自動で効率よく分散してくれている素晴らしい商品です。基本的には日本、アメリカ、欧州など資本主義経済をベースとした投資基盤が確立されている地域の方が新興国よりもカントリーリスクは低めになります。先進国の中でも二国間による租税条約によって税率が異なるため、リスクが変わってきます。

③通貨による分散

豪ドル>ユーロ>米ドル>日本円

通貨分散は主に為替変動リスク対策です。日本市場での円建てでの取引においては為替リスクはありません。外国株、外国債券、外国リート、ゴールドのような商品市場やビットコインなどの暗号通貨は米ドル建てのモノが多く、為替変動リスクが発生します。基本的には米ドルやユーロなどの取引量の多い通貨のほうがリスクは小さく、豪ドル、カナダドル、中国元、南アフリカランドのような取引量が少ない通貨のほうがリスクは高くなります。

リスク管理を徹底する

投資をスタートさせたら、定期的に自分のポートフォリオの状態を確認します。長期投資の場合は毎日自分の資産評価額を確認する必要は無いかもしれませんが、年に1~2回は自分のポートフォリオを見直して、必要に応じてリバランスしていきます。長期的な視点を持ちつつも、新しい市場の動向にも目を向けていく事が重要です。

①分散投資

ポートフォリオは経済環境やライフステージの変化に応じた調整が必要です。1つの資産やセクターに偏らないようにするべく、銘柄分散、セクター分散、地域分散、通貨分散、時間分散などを考慮に入れて、自分が最適と思うポートフォリオを作成していきましょう。

②定期的なリバランス

資産配分が目標値からずれた場合、売買を行って元に戻します。特に長期でのガチホ戦略をしていく場合にはアセットアロケーションは必須です。定期的に評価額を確認して、自分のポートフォリオを目標の割合に分散されるように調整していきます。

③ストップロスの設定

個別株やETF投資の損失を限定するための撤退売却ルールを設定します。許容できる損失を限定しておかないと、損失回避の心理がはたらいて損切りできなくなってしまいます。ストップロス設定は損切したくないがために、不利な方向に変更していかないようにすることを推奨します。

モデルポートフォリオ

①オルカンと現金のみのシンプルPF

eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)
ネット銀行の高利回り定期預金

『ほったらかし投資術』などで紹介されていたシンプルなPFです。NISAの投資枠1800万円を想定リターン5%で老後年金用として埋めていくならこの形がベストな気もします。現金部分はネット銀行の高利回り定期預金です。クーリングオフ適用外となるネット銀行1行で預金1,000万円を超える金額となった場合は「個人向け国債(変動金利型・10年満期)」で対応していきます。基本的には現金比率を気にしながらコツコツ積立していくだけで、リバランスも不要です。

②カスタムインデックス投資のPF

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)50%
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)30%
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス10%
ネット銀行の高利回り定期預金10%

外国株・日本株・新興国株・リート・外国債券等のインデックスファンドを組み合わせた形でのPFです。外国株の部分は先進国株、SP500、ナスダック100などの選択肢があります。日本株の部分は主に日経平均かTOPIXです。新興国株の部分は好みでインド株や中国株のインデックスに特化したものを選択することもできます。小型株までフォローしたければラッセル2000や全米株式、JPX400などですかネ?NISAでは非課税効果を考慮して株式100%のPFにして、特定口座でリートや外国債券のPFを組むようにしてもいいような気がします。

③インカム系投資を含めたPF

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)30%
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)20%
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス10%
VYM/SPYD/HDV or 米国高配当投信15%
AGG/LQD or 全世界債券/米国債券投信15%
ネット銀行の高利回り定期預金10%

上記①or②のインデックスに高配当株や債券ETFなどのインカム系投資を含めたPFです。インデックス投資とインカム系投資の最大の違いは「配当をいったん吐き出すか、ファンドの中で再投資していくか」です。インカム系投資はタコ足配当の心配があるのでETFのほうがオススメです。ただ、配当再投資分は別枠を使うことになるし、NISA口座では外国税額控除が適用外となります。NISA口座はインデックス投資のみで1800万円分の枠を埋めて、特定口座でインカム系投資をやった方が効率がいいと思います。

④個別株も含めたアクティブPF

eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)45%
日本個別株3050銘柄15%
VYM/SPYD/HDV or 米国高配当投信15%
AGG/LQD or 全世界債券/米国債券投信15%
ネット銀行の高利回り定期預金10%

個別株は外国株の場合も日本株の場合も基本的には配当を吐き出すので、インカム系投資に分類されると思います (稀に無配の銘柄もあります)。キャピタルゲインを取りにいくようなグロース株投資の場合も、配当落ちには注意が必要です。インデックス投資の時よりも、相場を頻繁に確認する必要に迫られることも多くなってきます。オルカンを50%で運用して、その他40%がインカム系投資です。インカム系投資でオルカンを上回る事ができるか比較していく形にしてあります。

⑤暗号資産等も含めたPF

eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)45%
日本個別株3050銘柄20%
VYM/SPYD/HDV or 米国高配当投信10%
AGG/LQD or 全世界債券/米国債券投信10%
ビットコイン5%
ネット銀行の高利回り定期預金10%

コモディティ投資は主にゴールド、暗号資産は主にビットコインになると思います。昨今の地政学リスクや米中対立により、ゴールドの需要は高まっているように思います。株式と異なった値動きをすることがあるのでリスクヘッジ用に保有する個人投資家もいます。ビットコインはアメリカでETFが承認されて、トランプ大統領の再選とともに価格が上昇し、保有者も激増して注目されています。

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