スポット買い戦術は基本的にインデックス投資と異なり、ある程度タイミングを計って投資する必要があります。具体的に説明すると、割高な時にも割安な時にも予め設定した金額を淡々と投資していくインデックス投資とは異なり、いつが底値かわからない状況下でも感情的にならずに勇気を出して購入していく事になります。そのためには自分の購入ルールを課していく必要が生じてきます。
積立投資vsスポット買い
特徴 | 株式インデックス積立投資 | 高配当株スポット買い |
---|---|---|
リスク分散 | 高い | 銘柄選定次第で変動 |
手間 | 少ない | 調査やタイミング判断が必要 |
タイミングの重要性 | 低い | 高い |
主な収益源 | キャピタルゲイン(価格上昇) | 配当収入+キャピタルゲイン |
高配当株投資は、主に3つの理由でスポット買いが有効になることがあります。
①市場全体が割安なとき
市場全体が下落したタイミングで優良な高配当銘柄を安く買える機会があります。たとえば
金融危機や景気後退時には、高配当株も一時的に大きく下がる傾向があります。
②特定銘柄が割安なとき
配当利回りが高く、財務健全性や成長性が問題ない銘柄をピンポイントで購入する戦略。
③配当金の再投資
配当金が貯まったタイミングで、その資金をスポット買いに充てるのも一つの方法です。
インデックス積立投資はタイミングに関係なくコツコツ続ける方が有効です。市場全体の成長に長期的に乗ることで、安定したリターンを期待できます。高配当株投資はスポット買い戦略が適しています。ただし市場の状況や個別銘柄の割安性を見極める必要があり、一定の知識と手間がかかります。初心者であればインデックス積立を基本とし、経験を積んだ後に余剰資金を使って高配当株をスポット買いするのがおすすめです。また高配当株を選ぶ際は、財務状況や事業の安定性をしっかり確認しましょう。
経済サイクルとセクターローテ
経済サイクル(景気循環)とは、経済活動が拡大と縮小を繰り返す周期的な動きを指します。主に以下の4つのフェーズに分けられます。
- 回復期 (景気拡大初期)
- 好況期 (景気拡大後期)
- 後退期 (景気縮小初期)
- 不況期 (景気縮小後期)
回復期(景気拡大初期)は経済成長が再び始まる時です。失業率が徐々に低下し、消費と投資が増加していく段階です。好況期(景気拡大後期)は経済活動がピークに達する段階で、企業の収益が高まります。投資が加速しますが、インフレの懸念が出てくることもあります。後退期(景気縮小初期)は経済成長が鈍化し始め、企業利益や消費が減少します。失業率が上昇しやすくなります。不況期(景気縮小後期)は経済が底を迎える段階で、企業活動や消費が低迷しますが、次の回復期への準備段階でもあります。
セクターローテーションとは、経済サイクルの進行に応じて有望なセクターを選んで投資資産を移動していく戦略を指します。この戦略では、以下のようにサイクルに合ったセクターに投資を集中させます。
- 回復期: 景気敏感セクター(金融、不動産)
- 好況期: 成長セクター(テクノロジー、資本財)
- 後退期: 防御セクター(生活必需品、ヘルスケア)
- 不況期: 公益事業、債券
セクターローテーションを考えるときには、まずマクロ経済を把握する必要があります。金利、GDP成長率、失業率などの経済指標をチェックすることにより、今現在が経済サイクルのどこに位置しているのかを考える必要があります。次にセクターのパフォーマンスを確認していきます。過去のデータやETFなどでセクターごとのリターンを確認します。それから実際に分散投資していきます。セクターローテーションを実施する際でも、特定セクターへの過度な集中を避けるように心がけます。
セクターローテーションは理論上効果的ですが、経済サイクルを正確に予測するのは困難です。投資判断の際には、経済動向だけでなく、個別銘柄や資産配分全体も考慮する必要があります。
S&P500下落率ランキング
1位: 1987年10月19日 – ブラックマンデー
下落率: -20.47%
背景: 世界中の株式市場が暴落。コンピュータによるプログラム取引が急増したことが引き金となり、急激な売りが連鎖。
2位:1929年10月28日 – 世界大恐慌
下落率: -12.82%
背景: 株価が過熱していた1920年代末の市場バブル崩壊が原因。1929年の暴落は大恐慌の始まりを象徴。
3位:1929年10月29日 – ブラックチューズデー
下落率: -10.73%
背景: 前日の暴落を受けて売りが拡大。市場心理が恐慌状態に陥り、パニック的な売りが発生。
4位:1931年9月21日 – 世界恐慌の深化
下落率: -10.16%
背景: 金融機関の破綻が続出し、経済状況がさらに悪化。特にヨーロッパの不安定な金融情勢が影響。
5位:2020年3月16日 – コロナショック
下落率: -12.00%
背景: 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動停止懸念が原因。市場は未曾有の不確実性に直面。
6位:2008年10月15日 – リーマンショック後の混乱
下落率: -9.03%
背景: リーマン・ブラザーズ破綻後の信用収縮と市場不安が拡大。銀行や保険会社への懸念が広がる。
7位:1932年10月5日 – 世界恐慌の続き
下落率: -8.64%
背景: 長期化する恐慌の影響で市場が引き続き不安定。失業率の悪化と信用不安が要因。
8位:2008年9月29日 – リーマンショック
下落率: -8.79%
背景: アメリカ議会が金融安定化法案を否決。市場は政府の対応能力に疑念を抱く。
9位:1933年3月14日 – 恐慌期の余波
下落率: -8.28%
背景: 世界恐慌の影響で引き続き市場は低迷。銀行破綻が続出。
10位:2020年3月12日 – コロナショック(初期段階)
下落率: -9.51%
背景: 各国でロックダウンが開始され、経済活動が急停止するとの懸念。
日経平均下落率ランキング
1位:1987年10月20日(ブラックマンデー)
下落率: -14.90%
概要: アメリカ発のブラックマンデーにより世界的な株式市場が急落。日経平均もその影響を受けた。
2位:1953年3月5日
下落率: -10.00%
概要: 銀行破綻リスクの高まりが原因で、市場全体にパニックが広がった。
3位:2008年10月16日(リーマン・ショック)
下落率: -11.41%
概要: リーマン・ブラザーズ破綻による世界金融危機で大暴落。
4位:1970年4月30日
下落率: -7.68%
概要: アメリカの景気減速と日米貿易摩擦への懸念が影響。
5位:1990年4月2日(バブル崩壊初期)
下落率: -6.84%
概要: バブル経済崩壊の象徴的な下落。
6位:2020年3月13日(コロナ・ショック)
下落率: -6.08%
概要: 新型コロナウイルスのパンデミックにより急落。
7位:2008年10月10日(リーマン・ショック関連)
下落率: -9.62%
概要: リーマン・ショックの連鎖的な影響が続く中での暴落。
8位:2011年3月15日(東日本大震災)
下落率: -10.55%
概要: 東日本大震災直後の不安が市場を圧迫。
9位:1987年10月26日(ブラックマンデー余波)
下落率: -6.82%
概要: ブラックマンデーの影響が継続。
10位:2020年3月9日(コロナ・ショック関連)
下落率: -5.07%
概要: パンデミックが拡大し、投資家心理が悪化。
暴落・調整相場に対する心構え
上記SP500と日経平均の下落率ランキングを見てもわかるように、1日で10~20%の下落は想定しておくべきです。直近では2024年8月の日経平均乱高下のインパクトが大きかったですネ。7月に4万2000円超の史上最高値を記録してから1か月もしないうちに3万2000円割れまで下落して、お盆前には3万8000円台まで戻ったのは記憶に新しいところです。
こういった調整・暴落は想定して準備しておくことが大切です。暴落時にどのように立ち回るかを予め決めておく必要があります。インデックス投資では高値更新も暴落相場も全て受け入れて淡々と積立していく戦略でしたが、高配当株投資などは高値掴みは避けたいところです。定期的に相場水準を確認しておいて、暴落時に買いたい銘柄をピックアップしておきます。判断材料は株価だけではなくて、配当利回りや市場センチメントなども重要です。
暴落がいつ起こるかは判断できないし、最大ドローダウンがどれくらいになるのかも起こってみなければわかりません。しかし、暴落や調整がいつかは必ず来るんだという事はわかっています。特に高値更新時は浮かれることなく、資金管理とメンタル管理をきっちりやっておきましょう!
ばけっと投資におけるルール
暴落時のスポット買い用の現金は、生活防衛資金とは別に全資産の5%以上を年初に残すようにしています。これまでスポット用資金を使い果したことはありません。コロナショックの時もあっという間に戻してしまったため、スポット買い用資金の半分くらいしか使いませんでした。
スポット買い戦略で重要なのは平時の準備と暴落時の買い下がっていく勇気です。多くの人が売り逃げている暴落時にバーゲンセールだからと言って買い集めるのは想像以上に難しい行為です。あとからチャートをたどっていけば「このタイミングで買えばいいんだ」と考える事ができますが、現在進行形で暴落している局面ではチャートの右側の未来はわかりません。「さらに下がっていくのではないか」と不安になりながら購入していく事になるわけです。常日頃からメンタルを鍛えて、来るべき暴落局面にすべき事を考えておきましょう!
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