『2026年はここまで下落する』とか、『この水準で買えばOK』と言っているわけではありません。『リーマンショック級の出来事が起きたらどれくらい変動するのか』といった事を把握して、今後の金融政策の方向を予め想定して準備しておくための水準把握だと思ってください。
VIX長期チャート

TradingView(VIX指数 月足チャート)
| 2008.09 | リーマンショック | 96.4 |
|---|---|---|
| 2020.03 | コロナショック | 85.4 |
| 2024.08 | 植田ショック | 65.7 |
VIX指数はリスクオフ水準の確認用に使っていきます。VIX指数は基本的に平時には20以下で推移することが多く、20以上で注意レベル、30以上で警報レベルと考えられます。VIX20にピンクの点線、VIX30にピンクの太線を引いてあるので簡単に確認できると思います。
〇〇ショックと呼ばれるような暴落局面ではVIX指数は警報レベルの30どころか50を超えるレベルになることが確認できると思います。VIXとはVolatility Indexの略称で、S&P500指数を対象とするオプション取引のボラを元に算出されています。難しく考えなくても大丈夫なので、「アメリカの株価懸念が大きくなるほどVIX指数は大きくなる」と覚えておいてください。
チャートを見てもらうと分かると思いますが、VIXが30を超えた期間はそれほど長くありません。株価暴落局面では基本的には政府や中央銀行が流動性を確保するために緊急の対策を打ちます。金利を下げたり、通貨の供給量を増やしたりして市場にお金をバラ撒くような政策を打つことが多いです。そのためVIXが30を超えた水準は多くの人が株を投げ売りしている状況ですが、バーゲンセール価格で購入するチャンスと考えることもできます。
2026年3月、米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃を受けてVIXが急騰し、ホルムズ海峡の封鎖危機は主要資産クラスに衝撃波をもたらしました。その後、6月15日にトランプ大統領がイランとの停戦合意を発表し、19日には合意文書への署名に至りました。6月上旬には米利上げ観測を背景とした株急落でVIXが上昇する場面もありましたが、停戦合意と重要イベントの通過とともに低下し、足元のVIXは16台まで落ち着いています。ただし停戦の履行やFRBの金融政策を巡る不確実性は残っており、ヘッドラインへの警戒は引き続き必要です。
GOLD長期チャート

TradingView(GOLD 月足チャート)
| 2018.09 | コロナショック前 | 1,180$ |
|---|---|---|
| 2020.03 | コロナショック | 1,575$ |
| 2022.02 | ウクライナ戦争 | 1,790$ |
GOLDはリスクオフ局面では買われる傾向にあります。金融クラッシュや戦争、災害、パンデミック等の危機的状況になってもゴールドの資産価値は不変的だと考えられているからです。金本位制の時代があったように通貨と同等の信用が置けると考えることもできます。地球上に埋蔵されているゴールドは残り約5万トンのようです。年間約3000トンのペースで採掘されているため、あと15年くらいで未採掘のゴールドは無くなる計算になります。今後の宇宙開発次第ですが、ゴールドの希少性もその価値を高めています。またゴールドは現物資産のため、現金と異なりインフレに負けることもありません。
コロナショック後からは①インフレ高止まり、②中央銀行のGOLD購入、③地政学リスクを背景としたリスクオフ懸念、といった理由でGOLDは最高値更新を続けてきました。
2026年初頭、国内金価格は一時3万円/gを超える歴史的な高値を記録しましたが、その後は調整局面が続いています。6月はFRBの年内利上げ観測の強まりとドル高が重石となり下落基調が続き、7月初旬には国際金先物価格が一時3,960ドル台と4,000ドルを割り込み、約8ヶ月ぶりの安値を付けました。ただしその後、6月の米雇用統計が市場予想を大幅に下回ったことで利上げ観測が後退し、金価格は4,100ドル台後半まで反発しています。歴史的な高値圏からの調整は続いていますが、中央銀行による金購入などの構造的な買い要因は変わっておらず、金利動向に振らされる展開が続きそうです。
原油長期チャート

TradingView(WTI原油 月足チャート)
| 2020.04 | コロナショック後 | 19$ |
|---|---|---|
| 2022.02 | ウクライナ戦争後 | 115$ |
| 2026.04 | ホルムズ海峡封鎖 | 110$超 |
原油はリスクオフ局面では売られる傾向にあります。ただし今回のような供給ショック型のリスクオフは例外で、むしろ原油価格が急騰するのが特徴です。平時はOPECプラスの生産目標やアメリカのシェールオイルの稼働リグ数の変化である程度の予測ができます。
コロナショック後の世界中でのロックダウン時には原油先物が0ドルを割り込んでマイナスになったのも記憶に新しいところです。その後ウクライナ戦争とインフレで急騰し、現状はインフレも加味して45ドル〜90ドルくらいのレンジと考えるのが適切です。今回のホルムズ海峡封鎖のような供給ショック時には、このレンジを一時的に大きく突破することも確認できました。
米国とイスラエルがイランを攻撃した2026年2月28日以降、ホルムズ海峡を通航する船舶数は一時ゼロとなり、4月30日にはWTI期近先物が一時110ドルを突破しました。しかし6月15日の米イラン停戦合意の発表と19日の署名を経て状況は一変。ホルムズ海峡の通航が回復し、イランに石油販売の60日間ライセンスが発行されたことに加え、クウェートなど中東産油国の増産も重なり、原油価格は紛争前の水準まで急落しました。足元のWTIは68ドル前後と、わずか2ヶ月で110ドル超から4割近い下落となっています。
このレンジを恒常的に突破するような水準が定着した場合は、スタグフレーションへの警戒から株価にも大きな影響が出ることを念頭に置いておく必要があります。
- VIXは20超えから警戒。30超えから株のスポット買いを検討。
- GOLDはリスクが高まると価格が上昇。基本的にはインフレ負けせず長期右肩上がり。
- 原油は通常リスクが高まると価格が下落。ただし供給ショックでは原油高+株安の同時発生に注意。
- 停戦合意後も中東情勢と原油価格の動向はインフレ・金利・株価に直結するため、引き続きヘッドラインに注目。


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