はじめに|この記事を書く理由
投資ブログをやっていると、「ばけっとさんは最初から投資がうまくいっていたんですか?」と聞かれることがあります。
全然そんなことはありません。
僕はFXで痛い目に遭っています。具体的な金額は給料約2年分としてますので想像してください。(だいたい一般的な新卒サラリーマンの平均値よりはマシ?くらいです) 今回はその回顧録となります。あれから、もう10年。月日が経つのは早いものです。
この記事を書く理由は2つあります。ひとつは、FXに興味を持っている初心者の方に「こういう大失敗パターンがある」と知ってほしいから。もうひとつは、失敗した経験があるからこそ、今のインデックス投資という選択に確信を持てていることを伝えたいからです。成功談より失敗談のほうが、ずっと学びが多いと思っています。
この記事でわかること
- 僕がFXで失敗した具体的な経緯と損失
- FXで負ける人に共通する心理パターン(僕もまさにそうだった)
- FXの失敗から学んだ「投資の本質」
- なぜインデックス投資にたどり着いたのか
- 今の投資スタイルと、当時の自分に伝えたいこと
第1章:FXを始めたきっかけ
僕がFXを始めたのは2015年の春のことです。友人に勧められたのと、ラクして稼げる本業以外の収入源が欲しくなったのがきっかけでした。
当時の僕は、毎日の仕事を懸命にやりながらも「本業の給料だけでは将来が不安だ」という漠然とした焦りを抱えていました。FXに惹かれた理由は、正直に言えばこんなところです。
- 少ない資金でもレバレッジをかければ大きく稼げる(と思った)
- 平日24時間取引できるから、仕事の合間にもできる(と思った)
- 上がるか下がるかの二択だから、簡単そう(と思った)
今振り返ると、この時点でもう失敗フラグが立っていたのですが、当時はそれに気づきませんでした。最初に口座へ入れた資金は30万円でした。
第2章:最初はうまくいった(ように見えた)
FXを始めて最初の1年くらいは、小さな利益が出ていました。
ドル円・ユーロ円・ポンド円・豪ドル円・ユーロ/ドル・ポンド/ドル・豪ドル/米ドル・ユーロ/ポンドといった主要通貨ペアの中から、値動き(ボラ)が大きめのものを選んで取引していました。スタイルはスキャルピング〜デイトレで、5〜20pipsくらいを取りにいくもの。節目の抵抗線を使ったライントレードを得意にしていきました。経済指標に合わせてチャートに張り付き、1週間で数千円〜数万円の利益を積み重ねていく。決め打ちはせず、価格変動の流れを監視しながらチャンスを待つだけ。最初は「これ、簡単じゃないか」と思っていたように記憶しています。
そして、いちばん危険なのが「最初の成功体験」でした。忘れもしない2016年6月24日。のちに「ブレグジットショック」と呼ばれる大イベントです。
市場の大半が「EU残留」を織り込んでいた中で、決め打ちはしないハズだったのに僕は離脱に賭けました。離脱が決まれば安全資産の円に資金が逃げ、円が急騰する——そう読んで、10万通貨×2のドル円、100万通貨×1のポン円を、ほぼフルレバに近い形で円買い方向(売りポジション)で仕込みました。
結果は、まさかの離脱確定。為替は大荒れになり、ドル円は107円近辺から一時100円割れ、ポン円も140円を割り込むまで急落しました。安全資産の円に資金が殺到し、僕のポジションは面白いように利益を生みます。その数日で給料約2年分を稼ぎ、総資産は1年で2倍以上に一気にふくらみました。
投資の世界には「ビギナーズラック」という言葉があります。FXをはじめて1年くらいたってたしトレード回数もかなり多かったので、経験値的にはビギナーと言えるか微妙ですが、まあ、思考回路はそんなもんです。FXでは特にこれが厄介で、最初にたまたま勝つと、自分にはトレードの才能があると錯覚してしまう。そして次第にロット(取引量)を上げていく。僕も、まさにそのパターンにはまりました。
第3章:転落——負けが始まる
転機が訪れたのは、ブレグジットで大勝した年の秋。2016年11月8日(日本時間9日)のアメリカ大統領選挙でした。
「トランプ当選なら、ブレグジットの時のように株もドルも売られるはずだ」という思惑で、ドル円ショート&ユーロ/ドルロングで仕掛けました。前回ブレグジットの「番狂わせ」で勝った成功体験が、そのまま「今回も荒れる方に張れば勝てる」という慢心になっていたのです。
ところが、相場は思惑の真逆に動きました。当選直後こそ円高・株安に振れたものの、それは数時間で終了。減税やインフラ投資への期待から世界的な株高・ドル高、いわゆる「トランプラリー」が始まり、ドル円は猛烈に切り返していきました(事実、翌10日の日経平均は1,000円超の急反発)。
ロスカットアラートが鳴る。動揺して損切り。同じロットで反対に持ち直す。が、想定外にスプレッドが広がっていて往復ビンタ状態に。失敗を取り返そうとして、さらに損を膨らませる。怒りにまかせてマウスを机に叩きつけて破壊する。動かなくなったマウスに、さらに腹が立つ。スマホで全ポジションを損切りし、放心状態でベッドに入る。後悔が次々と脳裏をよぎり、寝つけない。眠れない。「数時間前に戻ってやり直させてほしい」と、心から願った絶望の瞬間でした。
11月8日から9日にかけての数時間で、ブレグジットで稼いだ利益のほぼすべてを失いました。動揺して、焦って、カーッとなった結果でした。今振り返ると、本当にバカなことをしたと思います。
アメリカ大統領選挙のトランプラリーでの最終的な損失額は——なんと、給料約2年分。
天国から地獄に突き落とされた2016年。僕にとっては約24ヶ月分の手取りに相当する金額です。「ブレグジット前に戻っただけ」だと開き直ることなど到底できず、相当な精神的ダメージを負って、放心状態のまま年明けまで引きずりました。
第4章:FXで学んだ5つの教訓
お金を失った代わりに、重要な教訓を得ました。今の投資スタイルの基盤になっている考え方です。
教訓① 自分の予測は当たらない
FXをやっていた時、僕は「次はドルが上がるはず」「この水準で反転するはず」と常に予測を立て、その予測に自分のお金を賭けていました。
結果として、予測が当たったこともあれば外れたこともありました。問題は、当たった時に「自分はわかっている」と過信し、外れた時に「たまたま運が悪かった」と言い訳したことです。この経験が、後に「自分の予測に依存しない投資=インデックス投資」を選ぶ決定的な理由になりました。
教訓② レバレッジは両刃の剣
FX最大の魅力であるレバレッジは、利益を倍にしてくれると同時に損失も倍にします。25倍のレバレッジなら、わずか4%の逆行で資金が全部飛びます。
インデックス投資にはレバレッジがありません。基準価額が4%下がっても、失うのは4%だけ。この「損失が限定される安心感」は、FXを経験した僕にとって何よりも大きな価値でした。レバレッジとリスクの関係はリスク・リターンと分散投資でも整理しています。
教訓③ 「取り返そう」は最も危険な感情
FXで負けた後、僕がやってしまった最大の過ちは「損失を取り返そうとした」ことです。ロットを上げ、高レバレッジで勝負し、結果的に傷口を広げました。
投資において感情で動くことは致命的です。インデックス積立のいいところは、感情を排除できること。毎月自動で買付されるので、「今月は怖いから買わない」「調子がいいから多めに買おう」という感情的な判断が入り込む余地がありません。
教訓④ 投資と投機は違う
FXは為替の短期的な値動きで利益を狙う「投機」です。世界経済が成長してもしなくても、トレードの勝ち負けとは関係ありません。誰かの利益が誰かの損失になるゼロサムゲームに近い構造です。
一方、株式インデックス投資は「投資」です。世界経済が長期的に成長すれば、その恩恵を全員が受けられるプラスサムの構造になっています。僕はFXの経験を通じて、自分がやっていたのは投資ではなく投機だったと気づきました。
教訓⑤ 仕事中に相場が気になる投資は長続きしない
FXをやっていた時は、仕事の合間にスマホでチャートを確認していました。含み損があると仕事に集中できず、含み益があると「利確すべきか」が気になって集中できない。結局、どちらにしても仕事のパフォーマンスが落ちる。
兼業投資家にとって、本業に支障が出る投資は本末転倒です。インデックス積立なら、月に1回残高を確認する程度でOK。仕事に100%集中できる投資方法こそ、兼業投資家のベストアンサーだと実感しています。
第5章:インデックス投資との出会い
FXをやめた後、しばらく投資そのものから距離を置いていました。
転機になったのは「ほったらかし投資術」という本を読んだことです。FXでの大敗を思い知らされた後、どうすれば投資で再現性高く成功できるのかを模索していた時期でした。株もやってみようと証券口座を開設し、NISAで買うべき銘柄を勉強しようと、本や投資家のブログを読み漁って研究しました。
そんな時に読んだこの本で、インデックス投資の合理性を知ります。投資信託やETFで長期チャートが右肩上がりのものを見つけて、計画的に積み立てていく。合理的で、説明可能で、再現可能な投資法。「これだけで良かったんだ」と衝撃を受けました。
調べていくうちに、僕はこう思いました。「これ、FXの真逆だ」と。
| 項目 | FX(当時の僕) | インデックス積立投資(今の僕) |
|---|---|---|
| 利益の源泉 | 他人の損失(ゼロサム) | 世界経済の成長(プラスサム) |
| 時間軸 | 数分〜数日 | 20年〜30年 |
| レバレッジ | 最大25倍 | なし |
| 感情の介入 | 常に(恐怖と欲望の連続) | ほぼなし(自動積立) |
| 仕事への影響 | 大きい(チャートが気になる) | ゼロ(月1回確認するだけ) |
| 予測の必要性 | 必須(当たらないと負ける) | 不要(世界全体を持つ) |
| 失敗時の損失 | 元本以上の可能性(追証) | 投資額の範囲内 |
FXで僕を苦しめた要素が、インデックス投資ではすべて解消されている。この気づきが、オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)をメインに据える今の投資スタイルの出発点になりました。インデックス投資そのものの基礎はインデックス投資とは?基礎から解説に、時間を味方につける仕組みはドルコスト平均法と複利の力にまとめています。
第6章:今の投資スタイル
現在の僕の投資は、FX時代とは180度変わりました。
- コア:NISAのつみたて投資枠で eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)を毎月積立
- サテライト:配当株・債券ETF・ゴールド・ビットコインなどを状況に応じて
月次の市況レポートで世界経済のマクロ指標は追っていますが、それでオルカンの積立を増やしたり減らしたりはしません。相場を「見る」ことと、相場に「賭ける」ことは、まったく違うからです。
FX時代は「相場を見る=ポジションを取る」でした。でも今は「相場を見る=自分の資産がどんな環境にあるかを把握する」。見るだけで、動かない。これが兼業投資家の正しいスタンスだと思っています。
正直に言うと、FXで失敗していなかったら、僕はインデックス投資の退屈さに耐えられなかったかもしれません。「もっと効率的に稼げる方法があるはず」と、次の投機に手を出していたでしょう。失敗したからこそ、「退屈な投資こそ最強」だと心から納得できています。暴落とどう向き合うかはスポット投資はいつ・いくら買う?でルール化しました。
当時の自分に伝えたい3つのこと
① 「少額で大きく稼げる」は幻想
レバレッジは利益を増やすツールではなく、リスクを増やすツールです。少額から大きく稼ごうとする発想自体が、投機の入口。少額から始めるなら、インデックスの積立で時間を味方につけるほうが、はるかに合理的です。
② 負けた後に取り返そうとするな
損失を出した後、冷静さを失った状態で判断すれば、ほぼ確実に悪い結果になります。FXでもインデックスでも、「負けた直後に大きく動くな」は鉄則です。
③ 投資に「楽しさ」を求めるな
FXにはゲーム的な興奮がありました。チャートの上下に一喜一憂し、勝った時の快感はまさにギャンブルと同じ。でも、資産形成に楽しさは必要ありません。退屈でいいんです。退屈さに耐えられる投資こそ、長く続けられる投資です。
FXを全否定するつもりはない
ここまでFXの失敗談を書いてきましたが、FXそのものを全否定するつもりはありません。
FXで安定して利益を出しているプロのトレーダーは存在します。しかしそれは、何年もかけて手法を磨き、厳格なリスク管理を徹底し、専業でチャートに向き合える人たちの話です。兼業で、仕事の合間にスマホでトレードして、「ちょっとお小遣いを稼ぎたい」というノリで始めた当時の僕には、到底無理な世界でした。
自分の投資スタイルに合っているかどうか——それが大事です。僕には合っていなかった。ただ、それだけのことです。
まとめ|失敗は「授業料」だった
FXで当時の手取り年収の約2年分を失った経験は、間違いなく僕の投資人生でいちばん高い「授業料」でした。
でも、その授業料のおかげで、今の僕は迷いなくインデックス投資を続けられています。
- 予測に依存しない → 全世界株式インデックス(オルカン)
- 感情を排除する → 毎月自動のクレカ積立
- 仕事に集中する → 月1回の残高確認だけ
もしこの記事を読んでいるあなたが、FXや短期トレードで苦しんでいるなら、一度立ち止まって考えてみてください。「自分がやっているのは投資か、投機か」と。そして「投資」に切り替えたいと思ったら、NISAでインデックス積立を始めるのが、いちばんシンプルで確実な一歩です。
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※この記事は僕個人の体験に基づくものであり、FXを含む特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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