『今年はここまで下落する』とか、『この水準で買えばOK』と言っているわけではありません。『リーマンショック級の出来事が起きたら利下げ余地がどのくらいあるか』、『政策金利や期待インフレ率と現在の利回りがどのくらい乖離しているか』といった事を把握して、今後の金融政策の方向を予め想定して準備しておくための水準把握だと思ってください。
米10年債利回り超長期チャート

TradingView(米国10年債利回り 6ヶ月足チャート)
| 1985.09 | プラザ合意後 | 10.15% |
|---|---|---|
| 2008.12 | リーマンショック後 | 2.15% |
| 2020.03 | コロナショック後 | 0.35% |
まず基準となるのが1985年9月のプラザ合意後の金利水準10.15%です。変動相場制に移行後は基軸通貨の米ドルが強くなりすぎました。当時の中央銀行は伝統的な金融政策を行っていて、インフレと闘いながらの金利のコントロールに苦戦していました。最終的には主要国が為替相場に協調介入することにより、少しずつ利回りは低下してきました。
次に2008年のリーマンショックです。アメリカの金融システムが崩壊しかけるようなリスクオフ相場でした。流動性を確保するためにFRBは金利をほぼゼロに持っていきます。そこでFRBは非伝統的な金融政策手段として量的緩和QEを始めました。量的緩和は第三弾まで行われて、ようやく景気は底打ちしてデフレ脱却に向かいました。
そして2020年3月のコロナショックです。リーマンショック時の二の舞を踏まないようにFRBは早急に量的緩和に踏み切りました。ロックダウンが解除され始めると景気は急上昇するも、物流が追い付かずにコストプッシュのインフレに陥りました。
FRBは9月15〜16日のFOMCで政策金利を0.25%引き上げ、3.75〜4.00%としました。2023年7月以来約3年ぶりの利上げで、12対0の全会一致での決定です。同時に公表された経済見通しでは、2026年末の政策金利見通し(中央値)が4.1%に引き上げられ、年内あと1回の追加利上げが示唆されています。超長期チャートで見ると、米10年債利回りは2007年以来19年ぶりの水準まで上昇しており、リーマンショック前の高値圏に迫っています。
米10年債利回り長期チャート

TradingView(米国10年債利回り 月足チャート)
米10年債利回りは9月に急上昇しました。9月15日に2007年以来となる5%台に乗せた後、9月末には一時5.30%まで上昇しています。月間では約0.5%の上昇と、約2年ぶりの大きな上昇幅です。中東情勢を受けた原油高によるインフレ懸念、各国の財政悪化と国債の大量発行、そしてFRBの追加利上げ観測が重なったことが背景にあります。月足チャートの75EMA(黄色の波線)は3.69%付近で、現在の利回りは大きく上方に乖離しています。
日本では日銀が9月18日に政策金利を1.00%から1.25%へ引き上げました。日本10年債利回りも3.09%前後と、8月の約2.80%からさらに上昇しています。ドイツやフランスの10年債利回りも十数年ぶりの高水準を付けるなど、9月は世界的に債券が売られ、金利が上昇する月となりました。
日米ともに利上げ局面に入っており、「利下げを待つ」局面から「どこまで利上げが続くか」を見極める局面へと移っています。
- プラザ合意後は基本的には金利は下落方向に推移してきた。
- リーマンショック後、FRBはインフレターゲットを2%に設定。
- コロナショック後、FRBは緊急利下げをして金利は0%台まで下落。
- インフレが加速し2022年からは金利が転換点となって利上げ方向に。
- 2026年9月、FRBは約3年ぶりに利上げ(3.75〜4.00%)。米10年債利回りは19年ぶりの5.2%台まで上昇し、10月会合での追加利上げも意識されている。
- 日本では日銀が9月に政策金利を1.25%へ引き上げ(31年ぶりの高さ)。10年債利回りは3%台に乗せ、日米ともに金利上昇局面が続く。
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